2019年4月3日水曜日

Happy Hacking Keyboard(HHKB)の話

以前の記事にも書いたが、自分は長年PFU(現在は富士通傘下)というメーカーのHappyHackingKeyboad(以下HHKB) Professional2(リンク先はPFUストア)を愛用している。

(写真は墨・無刻印モデル)

約2万円超もする高価なキーボードだけど、毎日相当の時間触る道具の使い心地を考えたら決して高価とは思わない。
マウス同様常に手にする道具に気持ちいい道具を選びたいと思うのはごく自然かと。

このキーボードは英字配列(ASCII配列)をベースとしており、いくつかのキーはFnキーを押しながらの操作となっているのでキーの数は可能な限り少なくなっており、最も普及しているJIS配列の日本語キーボードでは109キー以上であるが、このHHKBでは60個まで減らされている(テンキーはもちろん存在せず、カーソルキーもFnとの組み合わせ)。


HHKBのキーボードレイアウト(出典(株)PFU)

このため、キートップのサイズは押下に十分なサイズを保ちながらも全体はとてもコンパクト(横幅294mm)にできている。
この特徴により、手の動きは最低限でほぼすべてのキー入力が可能となっている。

キーボードのレイアウトは、それぞれ使いやすさが重視されている…とは言い難く、決められたサイズの中に詰め込まれた感のあるキーボードも少なくない(特にノートPCなど)。キーボードによっては、Enterの幅が細くなっていたり、機能キーを従来のレイアウトと全く違う場所に持っていったりと、それは設計側の努力が垣間見えるところであるが、使う側にとっては迷惑この上ない。

このキーボードの設計思想は以下のWide用語集にある「壊れたキーボード」という項目の中にある。
Wide用語集(リンク先は「こ」の項目)
http://member.wide.ad.jp/~sano/glossary.html#L10

こわれた・きーぼーど【壊れたキーボード】
1) アット・マークが P の横にあるキーボード.
2) 括弧が一つ左にずれているキーボード.
3) [Caps Lock]キーが威張っているキーボード.
4) スペースがハーモニカ状態のキーボード.
5) 利用方法のわからないキーのたくさんあるキーボード.
6) 隅になるとキートップが細くなるキーボード.
7) 指をくじく可能性の高いキーボード.同) 腐ったキーボード.


Wideプロジェクトは元々大学関係者によるインターネットの研究プロジェクトであったため、JIS配列(日本独自仕様)を揶揄(ASCII配列が世界共通なのだ!)的な考え方がちらほらと垣間見える部分はあるものの、Caps Lockなんて、英文を打つ場合はそれほど必要としないし、日本語入力のための変換・無変換キーのためにスペースを細分化して使いにくくなったキーボードが多数あるのも事実である。

HHKB開発者であるコンピュータ科学者で東大名誉教授(IIJ技術研究所所属)和田英一氏の開発メモ・論文がこちら

個人用小型キーボードへの長い道
http://member.wide.ad.jp/~wada/bit.hhkbd/hhkbd.html

けん盤配列にも大いなる関心を(PFU)
Please Pay Your Attention to the Keyboard Layout
http://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/pfutechreview/index.html

また、キーによってはストロークとキーの高さ・キートップ面積のバランスが悪く、タイピング中に隣のキートップに指を引っ掛けてしまう(ストロークが深すぎる)ものもある。
HHKBのキー配列以外の絶妙なところは、キー全体のデザインで形状がシリンドリカルステップスカルプチャ(キートップ自体がややU字に凹んでおり、かつキートップを横から見ると全体的にU字になっている)で4mm(Type-Sは3.8mm)のストロークと押下圧45gの静電容量式のクリック感がきちんとした押下感と邪魔にならないどころか快適なタイピングを演出する。

唯一の泣き所は、その特殊すぎるキー配置故に(と言ってもカーソル関係や全角/半角切替のキー割り当てくらいだが…)、HHKBに慣れてしまうと他のキーボードがだいぶ使いにくくなってしまう事くらいか(笑)

それでも、一度手にした人はなかなか手放さない逸品である。
(キー自体の耐久性も高く、はじめに買ったのは10年前だけど未だに普通に機能している)

個人的には白のほうは長年使うと、紫外線ヤケで黄ばんできてしまうのは避けられない。なので、見た目も殆ど変わらない(キートップはタイピングによりすり減って来るが…)墨のほうが圧倒的に好みだ。ブラックの単純な黒ではなく、墨色というなんとも言えない色合いで飽きがこない。

PFU Happy Hacking Keyboard Professional2 墨 (英語配列)PD-KB400B-B
(PFUダイレクトへリンク)

はじめにこの色を作ったエンジニアのとんでもないこだわりが見えてくるようだ。


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